賭博師ジャック 5巻


第5回 招待状

ハルの指が導力銃の引き金にかかる。
この酒場に、彼女を止めるような
勇気のある者などいない。
ゴロツキどもはただうろたえ、
遠巻きに騒ぎ立てるだけだった。
「てめえら、うるせえぞ!」
イラついたジャックが一喝する。
すると、ものの見事に静寂が訪れる。

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ジャックは奥歯をかみ締めたまま、
その瞳でしっかりと少女を見据えた。
「……そうよ、私の目的は敵討ち。」
「でもこんな形じゃ意味がないの。」
ハルが突然、導力銃を下ろした。
思いも寄らぬハルの行動に
ジャックは戸惑いを隠せない。
そんなジャックに向かってハルは続けた。
「……私はこの3年間、

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「それこそ血のにじむ思いをして
 ここまでの腕を身に付けたわ。」
そこまで言うと彼女は、
ジャックに向かってカードを投げつけた。
何かの招待状のようだ。
「決着にふさわしい舞台を用意してあるの。
 勝負の続きはその場所で行いましょう。」
「あなたがとっても
 大好きなポーカー勝負よ。」
「父が味わった悔しさ、惨めさ……

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「その全てをあなたにも味わわせてあげる。」
そう言い残し、ハルは酒場から消えた。
少女の言葉の意味する所がつかめず、
ジャックはしばらく呆然としていた。
床に落ちたカードを拾い上げ、
そこに刻まれた文字を眺める。
『明日の夜10時、港に来い。』
「港……か、まさかな……」
イヤな予感がジャックの脳裏をかすめる。

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カードを握りつぶそうとした時、
裏側に書かれた小さなサインが目に飛び込んだ。
「エンリケ」
見慣れた筆致……
それはジャックが知る、ある男の名だった。
「……………………………
 ………………何てこった。」
ジャックの予感は確信に変わった。



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