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『サフィー 第2巻 〜ある決闘〜』

サフィーとブラッドの初めての出会いは
底冷えのする新月の晩のことだった。

サフィーはトルマリン子爵に雇われ、
ある決闘に関わっていた。
相手は社交界で知らぬ者はいない
ヒスイ男爵家の長男ガーネット。

彼の振舞いは分を越え、
トルマリン子爵は自らの身にふりかかった
侮辱を飲み込むことはできなかった。

当時貴族同士の決闘では
代理人を立てるのは常識で、
トルマリン家はサフィーを、
ヒスイ家はブラッドを指名したのだ。

お互いの依頼人をうしろに控え、
2人の剣士は向かい合った。
サフィーとブラッドに決闘開始の合図は不用だ。

互いの瞳に殺意が宿ったとき、
剣を引き抜く鋭い響きが月夜にこだました。