PAIGOW PAIGOW


1、はじめに

 PAIGOWはパイガオポーカーで言及した牌九という中国のドミノ牌を使用するゲームで、西部開拓時代にアメリカで普及したゲームである。19世紀半ばには早くもカジノゲームとなり20世紀初頭まで遊ばれたが、1930年代には消滅し、1960年代になってまた遊ばれるようになって現在にいたっている。
 このゲームはあまり馴染みのない天九牌というタイルを使用するうえ、独特の役を覚えねばならないのでとっつきは悪いが、慣れると、1ゲーム当たりのプレイ時間が長いうえに引き分けが多いので、カジノのコンプをねらうには良いゲームである。


2、基本のルール

 PAIGOWは牌九の広東発音である。使用するドミノタイルは見かけ上21種あるが、16組のペア32枚としてプレイする。
 プレイヤーがチップを賭けると、ディーラーがシャッフルしたタイルから4枚ずつプレイヤーとディーラーに配る。各自はその4枚を2枚ずつの組に分けて(High & Low)、バンカーのそれと比べる(勝負はバンカーの手との比較であり、通常はディーラーがバンカーをすることが多い)。両方の組とも勝っていれば勝負は勝ち、賭けたチツプと同額が配当される。1勝1敗なら引き分け、両方負けていればチップは没収される。この方式はパイガオポーカーと同じである。
 ペアの強さは役があればその役の強さ、役がなければ2つの牌の数字の合計の下一桁の大きさで比較する。


3、役の種類

 ボー(BO)
 これはペアのことで、そのランキングは以下のとおりである。
pg12pg241, GEE JOON   pg66pg662, TEEN   pg11pg113, DAY
pg44pg444, YUN   pg13pg135, GOR   pg55pg556, MOOY
pg33pg337, CHONG   pg22pg228, BON   pg56pg569, FOO
pg46pg4610, PING   pg16pg1611, TIT   pg15pg1512, LOOK
pg45pg3613, GOW   pg35pg2614, BOT   pg34pg2515, CHIT
pg14pg2316, NG  ペア同士の強さはランキングが上の方が強い。
 GEE JOON、GOW、BOT、CHIT、NGは同じ種類同士ではないので注意が必要である。


ウォン(WONG)
 この役はTEENまたはDAYと9の数字の牌との組み合わせで作る。
pg66pg45またはpg66pg36 TEEN GOW WONG
pg11pg45またはpg11pg36 DAY GOW WONG


ゴン(GONG)
 ゴンはTEENまたはDAYと8の数字の牌との組み合わせで作る。
pg66pg44またはpg66pg36またはpg66pg26 TEEN GONG
pg11pg44またはpg11pg35またはpg11pg26 DAY GONG


牌の強さ
 牌自体にも強さのランキングがある。同じ数字になった場合はより強いランキングの牌を持っている方が勝ちとなる。
pg66 1, TEEN pg11 2, DAY pg44 3, YUN pg13 4, GOR
pg55 5, MOOY pg33 6, CHONG pg22 7, BON pg56 8, FOO
pg46 9, PING pg16 10, TIT pg15 11, LOOK pg45pg36 12, GOW
pg35pg26 13, BOT pg34pg25 14, CHIT pg24 15, Low Six pg14pg23 16, NG
pg12 17, Low Three  Low Six と Low Three は、ペアなら GEE JOON という最強の役となるが、単体としては弱いので注意が必要である。
 またこの両者は3または6のどちらとしても使用できる。


4、実際のプレイ

配牌
 ディーラーは牌をよくかき混ぜてから、4枚ずつ8つの山に積む。積み終わるとダイスカップに入れたダイス3個をバンカーが振り(通常ディーラーがバンカーをすることが多い)、出た目の場所から4枚の牌を取り出して該当するところに配る。

手の分け方
 4枚の牌を2枚ずつの組に分けるのだが、一般的には以下のようにする。
1、役があればそれを優先する。複数の役がある場合は Low側の組がなるべく大きくなるようにする。
2、両方の組の手をできるだけ大きくなるようにする。
3、一方が十分に大きいときはもう一方が小さくとも我慢して引き分けをねらう。
4、どちらもそれほど大きくできないときはできるだけ Low側が大きくなるようにする。


 実際にプレイするときに正規の役ではないが頻繁に登場する言い方に High-9 がある。
pg66pg16または pg66pg34または pg66pg25
pg11pg16または pg11pg34または pg11pg25

 これは TEEN か DAY を含む合計数が9になる組み合わせで、かなり強い手と言える。WONG や GONG にとれる手を High-9に落として Low側をより強くするのが有効な戦術である。これは通常 Low側の手に役ができるのはまれで、ほとんどの場合は合計数での勝負になるからである。
 そのため、負けないためには Low側をより強くする必要がある。

 さらに、分ける時には牌のランキングも考慮する。例えば、8の数字の牌には別名 High-8とも言われるランキング3位の YUN と Low-8のランキング13位の BOT がある。この両方を持っている場合は High側にどちらを持たせるかが大きな問題となる。


ハウスウェイ
 ハウスウェイとはハウス(カジノ)がディーラーのルールとして決めている分け方のことである。基本は守備重視(つまり勝つより負けないようにする)の分け方となり、以下のようなルールを決めているところが多い。
  • GEE JOONは分割しない(最強ハンドであるから負けはない)。
  • 8-8と9-7の両方にとることができる場合は 9-7にとる。
  • WONGと GONGの両方にとれる場合は WONGを優先する。
  • Low側が7以上になる場合は役があってもあえて崩す。
上記は一般論であるので例外もあることをhawkさんに教えていただいた。
たとえばGEE JOONを分割する例として、CHONGとLOOKとGEE JOONを持った場合などは9・9に分ける。2とGEE JOONでは負けは無いが、まず引き分けになる。9・9は負けの可能性もわずかにあるが、普通は悪くても引き分け、相手のハイハンドが弱ければ勝てるからである。
また、WONGとGONGの選択はローハンドの数によって変わる。たとえばWONGにとってもローが2か3にしかならず、GONGにとれば5か6になる場合はGONGを優先する。

コピーハンド
 どちらかの組の手がバンカーとまったく同じことをコピーハンドという。パイガオポーカーと違って PAIGOWの場合は各ランキングの牌が2枚ずつしかないのでコピーハンドはほとんど発生しないが、コピーハンドになればバンカーの勝ちとなる。


勝敗の決定
 バンカーとプレイヤーとの勝負であるが、2つの組の両方とも勝っている場合のみ、その勝負は勝ちとなる。その場合、カジノに勝ち分の5%を支払う。


実例
例1)同じ数字でランキングの違う場合
pg56pg12pg33pg15 この場合は、3-3がHigh-6と呼ばれるランキングの高い牌なので、High側を 3-3と1-2 、Low側を 5-6と1-5にとる。
もっとも、このHigh-6はそれほど強くないからローハンドに使ってローを強くするという考え方もある。このへんは各人の好みになるかもしれない。

例2)ハウスウェイでもさまざまな分け方のあるパターン
pg55pg44pg56pg16 この場合は、8と8、または9と7にとれるが、どちらもあり得る分け方である。


なお、詳しい基本戦略がマックさんによって書かれているので参考にしていただきたい。


5、PAIGOWの練習ソフト

PAIGOWは日本人には馴染みが薄く、練習するためのタイル牌も容易には手に入らない。(実はテーブルゲームとして同じタイル牌が売られている。
ゲームショップに問い合わせてみられるといい)
このため、マックさんにより練習用のソフト(Windows用、273K)が開発された。ランダムに現れる4枚のタイル牌を2組に分割する練習にはもってこいである。ぜひ該当ページでダウンロードしていただきたい。



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執筆に当たり、マックさんの「PAIGOW入門」から文章の一部をお借りした。お礼申し上げます。