(詰碁に強くなる法第2回)「広さが基本」
塚本惠一 著 [詰碁世界第3号(1999年10月発行)掲載]


(広さが基本)
六死八活やハネ殺しの言葉があるように、広ければ生きやすく、せまければ死にやすいものです。そこで、殺しにいくなら、まずせばめることを考えるのが常識です。広さが基本というわけです。
実例を一つ示します。

1図 黒先白死
2図 1図の解
黒1のツケで5目の形にして黒3の中手です。白2で3の所なら黒2の所、白2で3の右なら黒3の上です。
せばめる黒1でなく、中からいく手は失敗します。
3図と4図を見てください。

3図 失敗1
4図 失敗2
せばめて殺す、広げて生きる、が基本なのですが、詰碁はパズルなので、意外性のあるものが尊ばれます。
例えば5図の詰碁です。

5図 黒先生き
6図 5図の解
正解は6図で黒1のコスミから黒3と徹底的低姿勢で2眼を確保します。こういう詰碁ばかりを見て行くと、つい眼形の急所ばかりを探すようになりがちですが、それは「詰碁病」とでも言うものでしょう。

7図 失敗
8図
7図の黒1黒3は失敗ですが、それをとがめる8図の白4はせばめて殺す基本通りです。なお7図黒3で3の下は白1の右でコウです。

9図 変化
10図
9図の白2の抵抗には10図の黒3黒5と広げて生きます。


まずは基本通りにせばめて殺す、広げて生きる、を考える習慣をつけることが実戦でも役立つ詰碁に強くなる法なのです。
今回のテーマは「広さが基本」でした。


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