(詰碁に強くなる法第19回)「まとめ」
塚本惠一 著 [詰碁世界第20号(2004年1月発行)掲載]


(まとめ)

これまでに説明してきたテーマを並べてみます。
第1回 やさしい詰碁をたくさん覚える
第2回 広さが基本
第3回 敵の急所は我が急所
第4回 中手とセキ
第5回 眼欠きの筋
第6回 コスミの筋
第7回 トビの筋、オキの筋
第8回 サガリの筋、ハシリの筋
第9回 ツケの筋
第10回 ツケコシの筋、ワリコミの筋、スソハライの筋
第11回 ホウリコミの筋、ウッテガエシの筋
第12回 ウチカキの筋、オイオトシの筋、捨て石の筋
第13回 石の下の筋
第14回 大中手
第15回 ダメヅマリを利用する筋
第16回 左右を見合う筋
第17回 ハネ石の利用、絶隅の利用
第18回 黙りの筋、敵の弱点を利用する筋
初回のテーマであった「やさしい詰碁をたくさん」というのが、遠回りのようで、最も詰碁に強くなる早道と言えると思います。それも、丸暗記ではなく、変化も丁寧に調べて形と筋の意味を身に付けることが肝要です。
囲碁の読みには天賦の才能が必要と言われる場合もありますが、私の知る限りでは勉強量の問題と言わざるをえません。歴史上の囲碁の第一人者たちを見ても、その勉強量が世人に隔絶していたと言えそうです。
発明王のエジソンも「天才は1%のひらめきと99%の努力」と話されています。研究の繰り返しだけが真の上達法と言えるでしょう。

紹介してきた基本的な詰碁を見ると、一つ面白いことがあります。

1図 中手
2図 敵の急所
3図 敵の急所
4図 眼欠き

5図 コスミ
6図 オキ
7図 トビ
8図 マクリ

これらの正解は絶隅の「2の一」です。このように、2の一が手筋にあたることから「2の一の筋」という言葉があります。しかし、それらの筋は隅でなくても成立するものが多いのです。敵の急所や眼欠きの筋として形と筋を理解される方が望ましい勉強法と申し上げておきます。
そして、もう一つ忘れてならないことが「広さが基本」ということです。詰碁を解く場合は、まず広さから考える、これが読みを早くする秘訣です。
最後に第15回に紹介した詰碁の解き方を再掲して結びとします。

 (1) 殺すなら狭める、凌ぐなら広げる手から読む。
 (2) 相手に巧い受けがあったら、「敵の急所は我が急所」と考える。
 (3) (1)(2)がダメそうなら、ダメヅマリの利用などを考える。


5年の長きに渡る講座になりましたが、少しは皆さんのお役に立てましたでしょうか。ご愛読ありがとうございました。



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